低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入の正しい施工方法

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今日は低圧注入工法の正しい施工を報告します

施工方法が正しいとか正しくないとかの基準は何かと言えば、ひび割れの中に樹脂が確実に充填されてそ

して確実に接着しているかどうかです。

低圧注入器具と樹脂を造っているメーカーは国内で数社ありますが、どのメーカーのカタログ等を見ても

その具体的な方法については書いてありません


メーカーによっては書いていないどころか、現場ではとても考えられないような間違ったこと事を平気で

言うような会社もあります


知らないのなら、メーカーの技術者も謙虚になって自社製品を現場で最初から最後の検査引渡しまで実際

に施工したらどうなのでしょう


私自身も長い間メーカーに勤務していましたが、対外的にはメーカーの技術者は何でも知っているように

見えますが実際にはその逆で現場での使用については殆ど知りません


現場での知識は実際に現場で見学して身をもって勉強したと言うものではなく、それは職人さんとか代理

店の営業マンに教えてもらったことが知識となっています。

たまに、現場が好きな技術者も例外的にはいるにはいますが・・・。

どちらにしても施工が伴う製品を造っている技術者は現場に足を運んでせめて職人のテコぐらいの知識は

得て欲しいものです。


そうすれば注射器タイプの器具のように樹脂の注ぎ足しが出来ない、強い押圧が出せない、硬い樹脂が注

入できないなど、10年1日のごとく変化しないことはないと思うのですが

どんな製品であっても少しでも改良の余地があれば必ず改良していくのが日本の企業の良いところなので

すが・・・問題があっても一向に変えないという姿勢はなんでしょう



そこで低圧注入器具の正しい施工方法を以下に


写真は施工の順序で並べています


一番上は、剥離性の仮止めシールを施工しています。ここでの施工のポイントは決してひび割れを見逃

さないということです。

微細なひび割れが枝分かれしている場合があります。

見逃すと注入したときにはその箇所から注入した樹脂が漏れ出してきます。

一旦樹脂が漏れ出すと、もうそこの器具からは何度注入をしても全てその部分から漏れ出してしまいます

樹脂が漏れている現場は、余程のフォローをしていなければ殆ど不確実な施工となります


つぎの写真はフロッグの取り付けです

丸く描いている仮止めシールの上にフロッグの台座部分を押し当てます

ここのポイントは丸くなっているシールをできるだけ小さくフロッグの吐出口に合わせます

当然ですが小さくしてもひび割れはその丸の中にあるようにしなくてはいけません

ひび割れを潰してしまっては樹脂は入らなくなります

少し技術が必要ですが、丁寧に台座を動かしながら押していくと丸は思うような所に配置できます

丸が大きいと樹脂の力が分散して破裂してしまうと言うことがあります


次はシールをヘラで押さえます

注射器タイプで施工している職人さんは、押さえないのが普通と思っているようですがそれは絶対に間違

いです。

シーリング屋さんがシールを押さえないのと一緒です。

シール材は押さえないと確実には接着はしません

シーリング屋さんとか防水屋さんは常識として知っていますが、塗装屋さんとか左官屋さんは普段の仕事

の中にはありませんから教えないとそれは無理なのかもしれません

施工のポイントは台座周りの押さえが大切です

この付近が一番力が掛かる部分です


樹脂が漏れ出したら注入工事は不完全になるのだと言う意識が必要なのです


その次は注入です

最初は必ず超低粘度型の樹脂から、取り付けたフロッグの端から順番に注入していきます

一回りしたら次は低粘度型の樹脂で二回目の注入をします

最初注入した樹脂が殆ど減っていないとか少ししか減っていないフロッグには注ぎ足しを行いません

空になっていたり減っているフロッグのみを注ぎ足していきます


施工のポイントは、注入している最中に抵抗なく樹脂がどんどん減っていく場合はフロッグにテープ等で

マーキングしておきます

超低粘度型でまったく抵抗なく入っていく場合は低粘度型を通り越して注ぎ足しはもう少し硬い中粘度型

を注入します

中粘度型でもどんどん減っていく場合は更に硬い高粘度型の樹脂を止まるまで注入します


こんな施工を繰り返すやり方が正しい施工方法なのです。

面倒でも何度でも見回って、減っているフロッグには注ぎ足しを行いましょう。


超低粘度型を最初に注入するという方法は、その樹脂の減り方によってひび割れの中の状況を知ることが

できます。

そして何よりも柔らかい樹脂はコンクリートへの浸透性が良いわけですから次の硬さの樹脂の滑りを良く

して抵抗なく、漏れ出さないで樹脂を沢山注入することが可能になります

更に浸透性の良さによってプライマーの代わりとなって接着を完全なものにします



まだまだ、注意点とか利点等については報告したいことが沢山ありますが、取り合えず最低限この程度ま

では実行して欲しいと思います。