低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ALC版のひび割れの補修は

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ALC版のひび割れについて、時折相談がありますが私はエポキシ樹脂で低圧注入する方法がベストだと

思います。

私にとってALC版という材料は懐かしく、入社したての若いころを思い出します


北欧から得た技術を日本でと、当時は画期的でオシャレな外壁材として期待の建材でした。

ライフサイクルの速さに驚きますが、今は殆ど見なくなりました。


今回の震災で角割れしたり、鉄骨の歪みを受けて真ん中から割れたりしているようです。


真ん中から割れているような場合は、それこそALC版の特徴である取り外せるという利点でその版だけ

を取り替えればなんてことはありません。


特に近年は、ALC版の取り付け方法も挿入筋工法からスライド工法に変えられているために取り替える

ことにはさほど手間はかかりません。



さて、角割れしたりひび割れが入った場合に果たして強固な接着剤を注入して大丈夫なのかという不安が

あると思います。


注入に使うエポキシ樹脂の引っ張り強度は約70~90㎏/cm2で ALC版の場合は僅か3㎏/cm2の引っ張り強

度しかありません。

引っ張り強度はなんとエポキシ樹脂の5%程度の力しかありません


こんなに強度の差があっても問題はないのでしょうか。



今のALC版は鉄骨(アングル)に取り付ける場合は一枚一枚が独立してムーブメントに対応ができるよ

うにスライド(動き)ができる様にしています。

昔のように壁面一面のALC版同士を固定するような方法ではありませんから、ひび割れた箇所を固定し

ても一枚の割れた部分だけの固定ですから隣の版に影響を及ぼすようにはなりません。


仮に弾性の樹脂を注入できたとしてもひび割れた部分に伸縮性を持たせたとしても何の意味もありません

ひび割れたところを動かしてもその部分は鉄骨に固定している訳ではないのでなんにも利点がありませ

ん。


ALC版に注入する場合に注意すべきことは次の事です

剥離性の仮止め材を使用した場合には撤去する場合にALC版の表面を剥がす場合があります

剥離性の仮止めシール材の付着力は2~3㎏/cm2程度なので、丁度ALC版の表面強度と同じ程度なので

剥がす場合もあるのです。


私は速乾タイプの仮止めシール材を使用します


撤去の時はバーナーで仮止め材を暖めて軟らかくしてから剥がします。


これだとALC版の気泡の中に多少シール材は残りますが、殆どALC版を剥ぎ取ると言う事はありませ

ん。


次にフロッグの取り付け位置ですがその間隔は狭く200㎜程度がベストです。


コンクリートのひび割れに低圧注入を行うと注入された樹脂は必ず扇型に広がって進みますが、ALC

版の場合は決して扇型には広がりません。


押される樹脂はひび割れの中で広がるには広がりますが、色々に変形しながら広がって行きます


注入口の間隔を狭くし沢山の樹脂を注入する事によってこの変形の広がりを均一にするのです


ALC版のひび割れの中は気泡の溝があり、その中が樹脂で満杯になってから進んで行く為だと私は考え

ています。

こんなことを研究している学者なんて日本にはいないもんね・・・。


経験しているおじさんの理屈を信じてくださいまっせ。