低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入工法の基本です

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

微細なひび割れから10㎜幅以上のひび割れまで対応できる低圧注入工法を、より確実に施工するには守る

べき大切な基本的な事があります。

そうなのです・・・ひび割れ幅と注入する樹脂の硬さには適合性があるという事です。


それに厄介な事にひび割れの幅は決して一定ではありませんから、面倒でも柔らかい樹脂から注入して

樹脂の動きで硬い樹脂等を注ぎ足し注入して適合性を探す必要もあります。


微細な0.3㎜以下のひび割れには超低粘度型の樹脂でなければ殆ど隅々までは充填はできません

0.7㎜以上のひび割れには中、高粘度型の樹脂で無ければ柔らかい低粘度型の樹脂ではせっかく充填して

も時間とともに下のほうへ流れ出してしまいます。


更にひび割れ幅が5㎜幅もあったとしたら、それはもうグリス状の高粘度型の樹脂でなければひび割れの

中で樹脂は留まってくれません。


この基本的なことは、なにも実験によるとか、文献に載っているとかという高度な技術的な事という程度

のものではありません。

単純に一般的な常識だと思うのです。


例えば医療用の注射器を考えると水のような液体は押し出すことができますが、マヨネーズのように硬い

液体は押し出すことはできません。

更には粘土のような固形に近いものは吸う事もできないし、ましてや押し出すことは出来るはずがありま

せん。

なにも実験しなくても普段の常識で理解できると思うのです。


ところがですよ・・・。

セメントメーカーで造っている注入用のセメントスラリーの場合は大きなひび割れにも対応できると言う

のです。

カタログを鵜呑みにする建築屋さんとか設計屋さんにはがっかりします。


そもそもセメントスラリーという製品は超微粒子にしたセメントの粉に水系の樹脂を混合したものです

低圧で注入するとひび割れの中で水を吸い取られてひび割れの奥に行くまでにドライアウトとなってしま

います。

更には注入器具のなかで比重の違いからセメントと樹脂が分離してしまいます。


日曜大工でモルタルを作ると解りますが水とセメント、砂を混合し暫く放置すると表面が直ぐに硬くなり

ます。直ぐに混ぜるとまた柔らかくなります。

この現象は水とセメント、砂が分離するから起こる現象なのです。


こんな風な材料を見ると本当に低圧注入の実験をしたのだろうかと疑いたくなります

全ての製品を使ったわけではないので中には違うようなセメントスラリーがあるのかもしれませんが、少

なくともセメントを水で溶かしたような柔らかいものが大きなひび割れに対応できる筈がありません。


ひび割れがビンのように底があって注入したものが漏れないような構造なら確かに柔らかい樹脂でも満杯

にはなるのでしょうが現実はそうではありません。



低圧注入工法の器具と樹脂を造っているメーカーのカタログを見てもこのひび割れ幅と樹脂の硬さの適合

性を説明しているものはありません。


注射器タイプのメーカーでは樹脂の注ぎ足しはやってはならない事と言っているそうなので、その会社の

技術に説明を求めた事があります・・。


『はい、硬さの違う樹脂はそれぞれの配合が違うので混ぜてもらっては困ります』

『注ぎ足すのであって混合するのではありませんが』

『でもひび割れの中で混ざると思いますよ』

『それぞれの硬さの樹脂を規定通りに主剤と硬化剤を混合してから、混ざり合って問題はありますか』

『あまり良くはありませんね』

『混合した製品を試験したことがあるのですか』

『いえ、ありません・・』

『試験もしたことが無いのにどうして駄目なのでしょう』


『推定では問題は無いと思いますが、良いとした場合にその混合物のデーターがないので突っ込まれたら

 困るのです』

『硬化とか物性にさほど問題は無いと推察するけどデーターが無いので駄目ということですか』

『そうなのです・・・』


『参考ですが私がメーカーに在籍していた時に混合したものをJISA6024で社内試験をした事があ 
 りましたが、それなりに強度が出て実用に問題は無いと思いましたよ』


『そうですか・それぞれの会社の考え方がありますから・・・』


低圧注入工法をまじめに考えてくださいませ・・。




ひび割れが表面は0.3㎜なのにひび割れの中には巣穴が有った場合にはどうするのですか?


硬さの違う樹脂を注ぎ足しては駄目なら大きな巣穴は柔らかい樹脂のみで、そのままで済ませるのでしょ

うか。

低粘度型の樹脂では巣穴の中は埋まりません


樹脂は巣穴の一部を通って奥に押し出されて行くのですから巣穴の中は空隙のままですよ


それで良い訳はないだろうよ・・・・。


そんな施工ではそれこそ対価に値しません・・・・。