低圧注入を長年施工していると自分では常識だと思い込んでいる事柄が沢山あります
例えばどのような幅のひび割れであっても、ひび割れの奥の箇所とか繋がっている先の箇所とかは必ずし
もその隙間は同じとは限らないとか、例えば0.2㎜幅のひび割れの場合は超低粘度型のひび割れしか注入
が出来る筈はない等・・・・・。
今日、驚くべき事を聞くことがありました
なんと0.2㎜幅のひび割れの場合に、注入には中粘度型(マヨネーズタイプ)の樹脂を注入するのだとか
私の常識からすればひび割れ幅が0.05㎜から0.3㎜程度までは超低粘度型の樹脂しか注入できないという
事を経験し、注入は必ず超低粘度型からとしていたのですが。
何故、中粘度なのかと聞くと樹脂が低粘度に比べて安価だからそうしているのだとか・・。
土木では常識なのだとか・・・?。
注入が出来るはずもない事を平気でしかも経済的だという理由だけで、国の構造物の補修を行っていたの
かと言う事に絶句。
殆どのメーカーは低粘度型樹脂と中粘度型樹脂の価格はさほど変わりません
例えばS社は超低粘度型の樹脂を除いて他の硬さの樹脂の価格は同じです
K社とてその価格は経済的と言う程度の差はありません
そして、ひび割れ幅が0.2㎜の箇所に中粘度型の樹脂が注入できない器具は不合格だとかのたまう。
それは、国内にある器具は全部注入ができないので全部不合格ではと思うのですが
ひび割れ幅が微細な箇所は柔らかい樹脂を、そしてひび割れ幅が大きい箇所には硬めの樹脂を・・が
常識のはずなのです・・それは基本と言うよりも人間の常識です。
地下鉄に乗るのに人間が一斉にドアに向かって押し合いをしながら乗るよりも、小さなネズミ君達が並ん
で順番に乗る方が遥かに早くスムーズに乗れるのは常識でしょう・・・。
ひび割れ幅0.2㎜に中粘度型を注入するという事は、この地下鉄の入り口が人間の体よりも遥かに小さな
入り口と言う事と同じ理屈になります。
こんな理屈はネズミ君達でさえ知っている事なのだ・・よ。
写真はひび割れに超低粘度型の樹脂から低粘度型の樹脂を注入し完了した跡の様子です
ひび割れの中に進入した樹脂の沁みがはっきりとわかるでしょう・・。
このように注入した樹脂がひび割れの表面にくっきりと現れる症状は全てに現れるという訳ではありませ
ん。
注入して貰ったのにこのようにくっきりとひび割れの表面に樹脂が沁みないから樹脂が入っていないので
はと思いがちですが、樹脂は確実に注入されても表面に現れない場合があります
樹脂の跡が現れる場合は、ひび割れが貫通していても反対側が狭くなっているか、樹脂が流れにくいよう
な、例えばこの建物のように外壁がタイル等の場合等です。
注入する面に樹脂が沁みやすいモルタルなどで仕上がっている場合もそうです
一般的にひび割れの幅が小さい場合に抵抗のせいでしょうか沁みは現れやすくなります
ひび割れ幅が大きい(0.6mm以上)時は反対側に抵抗があっても殆ど沁みの跡は残りません
仮止めシール材が食い込んでいるせいもあります
このような事は経験でしか解りません
過去に発表したような文献などはありません
いずれにしても真面目に対価に値する仕事をしていれば表面に跡が残らなくても、例えば反対側とかどこ
かに樹脂の跡は残っている筈です。