低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

やつと住宅の瑕疵担保補償の保険が法制化されます

 国会で欠陥があるマンション等の住宅を救済するための対策のなかで保険を付けて救済する法制化が決められる事になりました。
そもそも品質確保法などは制定される前からザル法だの実際の保証は誰がするのだとか本当の意味での消費者保護とはなつていませんでしたから今回の案が決まるとやっと救済ができそうです。奥さん良かったですね・・・・。
建物にひび割れが発生しても構造に関係ない部位だからとか雨漏れしても漏水さえ止めればいいのだろうとかで消費者が不安に思うことも必ずしも完全には修理はしてくれませんでしたがやっとなんとかなりそうです。
お金の出所がはつきりすれば逃げの一手だつた建設会社も販売主も入居者の意向どおりに補修をしてくれると思います。何年先に法制化して施行されるのかは今ははっきりしませんがどちらにしても一歩前進だと評価したいと思います。
 さて、今までに数回にわたってひび割れの補償、修理について問題点を書いてきましたが、今回からはその補修の方法である低圧樹脂注入工法について問題点,機能等についてより具体的に報告しましょう。
ひび割れの補修の方法でこの低圧注入工法はひび割れた箇所の補強ができる唯一の方法です。
ひび割れた隙間に接着剤では最強の接着力を持つエポキシ樹脂を充填してコンクリートの強度を正常に戻すものです。
この方法は微細なひび割れた隙間に小さな圧力を掛けて樹脂を押し込む方法ですが、施工方法そのものはどうってことの無い単純なものですが実際の一つ一つの作業にはかなりな器用さと知識が必要となります。
ひび割れた箇所の上に器具(フロッグ)を取り付けその周りのひび割れには圧力により樹脂が漏れないように目止め(シール)をして硬化してから樹脂を注入します。
この際に注意すべきは圧力を掛けて樹脂を注入しますがせっかく注入したのにフロッグを取り付けた箇所
とかシールした箇所から樹脂が漏れてくると言う事です。
液漏れしたら樹脂はひび割れの中には決して侵入していきません。
つまり注入作業と言う目的が全くなされないと言うことです。
現場では良く見られる症状ですがこのような作業をしている人は形だけを考えて何のために注入しているのかが解っていないのだと思います。
これが非常に問題と思うのは、作業が終了してもひび割れの中に樹脂が入っているのかどうかが確認できないものですから作業員が終わりましたと言えば不完全なままで終わってしまうということです。
建物にとって重要な部位の場合は強大な地震が来て破壊されて初めてその結果が解ると言う事です。
このような不完全な事は業界としても何らかの対策が必要ですね。
 次はひび割れ幅と樹脂の硬さの適合性についてです。
注入するエポキシ樹脂はメーカーによって違いますが非常に軟らかいものからグリース状のものまで約4種類のものが揃えてあります。
ひび割れ幅が例えば0.1㎜の場合に4種類の中から硬いグリース状のものを選んで注入したとするとその場合はひび割れの中には樹脂は入っていきません。
圧力を極端に上げて押し圧をあげても逆に反発力が発生して決して樹脂は入っていきません。
満員電車の場合に入り口にいきなり沢山の人が殺到したら入らないように硬いものを圧力をいくら掛けても入っていきません。一列になれば簡単に入りますが。
今度は例えばひび割れ幅が1㎜の場合に4種類の中の一番柔らかいものを注入するとどうなるでしょう。
今度は全く抵抗無く樹脂は入っていきます。いくらでも瞬時に入っていきます。
しかし時間が経つとせっかく注入したのにその樹脂は瞬く間に下のほうに流れ出してしまいます。
決してひび割れの中で留まってはくれません。
このようにひび割れの幅と樹脂の硬さは適合性があるということなのです。
この様にひび割れ注入にとつて適合性は一番大事なことなのですが残念な事にこれらの商品を造っているメーカーは販売するときにこのような事を書いたマニュアルなどの説明などは殆どありません。
また、年に一度の技能士制度の国家試験の出題の中にもこんな大事な事なのに存在しません。憂うべき事です。
注入施工をしていてなかなか注入できないなどと言っている事を良く聞きますが殆どの場合はひび割れ幅に対して樹脂が硬すぎるということだと思います。
 次の問題点は物を接着すると言う事は殆どの場合プライマー処理という下地処理が必要なのですが注入の場合はひび割れの中ということなので簡単にはその処理ができません。
ひび割れの中にゴミ、カビ、エフロなどがあった場合にいきなり固めの樹脂を仮に上手く充填したとしても果たして下地処理もしないで本当に確実に接着しているのだろうかと不安になります。
 そこで接着の不安を無くすために次の方法を実行します。
まず最初に注入する樹脂は超低粘度といわれる極端に柔らかいそしてコンクリートに浸透しやすい樹脂を注入します。
決して一度だけの注入そして一種類だけの樹脂しか使わないような方法はしてはいけません。
最初の樹脂が入っていったら次にはひび割れ幅に適合の樹脂を注入します。
更にフロッグの中の樹脂が減ってきたら再びこの方法を繰り返します。
この処理をすることによって後から入れる樹脂は滑りがよくなり余分な圧力も掛からずにスムーズに注入ができます。
 注入の作業について最良の方法をもう一度まとめると次のようになります。
注入器具の取り付けと仮止めシールはひび割れから樹脂が漏れださないように確実に隙間を埋める。
注入はひび割れの大きさに拘わらず最初の注入は必ず超低粘度の樹脂から行う。
それが終わったらひび割れ幅に適合した硬さの樹脂を注入する。満杯になるまで繰り返す。
こんな簡単な事に注意すれば完璧に近い注入が出来るのですが、何故できないのでしょうか。
はい、これまで・・・。